共同体から流出して生きるということ(『論語』その1)

 孔子曰く「若者よ、身内では父母に仕えておくこと(孝)、世間に出ては自分をへりくだっておくこと(悌)だ。何事もおろそかにせず、誠実で人から信じられるように。誰でも嫌うことなく、また、人柄の厚い人に親しんでいく。このように生活して、まだ余力があれば、書物を学ぶように。」
『論語』*1学而6)

△最近、放置していた社会科学に立ち返り、大塚久雄*2や藤原保信*3アマルティア・セン*4を読み、その目線で宮台真司『自由な新世紀・不自由なあなた』*5を読み返している。
△考えてみれば自明だが、孔子は共同体に自足していたわけではなく、失われた共同体をベタに回復させようとしていたわけでもない。儒教の説く「孝悌」は、すでに再帰的な共同性を志向していたはずである。

*1:論語 (岩波文庫 青202-1)

*2:『社会科学の方法』社会科学の方法―ヴェーバーとマルクス (岩波新書)『社会科学における人間』社会科学における人間 (岩波新書)

*3:『自由主義の再検討』自由主義の再検討 (岩波新書)

*4:『貧困の克服』貧困の克服 ―アジア発展の鍵は何か (集英社新書)

*5:自由な新世紀・不自由なあなた宮台真司の著作(「http://www.miyadai.com/books.php」参照)の中でも、現在に至る宮台氏の転換点を告げる重要な1冊。