自殺についての話題を転換するということ

TBSニュースバードで一昨日辺りから流れている*1、自殺防止に関するウィーンからの報告について、やや粗雑に情報をまとめてみる(不正確な部分があればご指摘ください)。

  • 1978年にウィーン初の地下鉄が開業後、飛び込み自殺が相次いだ。報道も過熱し大きく取り上げると、連鎖的に自殺が増加した(1986年にオーストリアの自殺率がピークの28.2に。ちなみに、2004年の日本は25.3*2)。
  • そうした状況への対応として、ウィーン精神医学会は、1987年に自殺報道についてのガイドラインを発表。内容の要点は以下の通り。
    • 自殺者の名前・写真や自殺方法の詳細について触れることをできるだけ抑制すること。
    • 遺書を公開しないこと(なぜなら「同様の問題を抱えている人の、自殺しか解決方法がないという思いを助長してしまうから」)
    • 自殺の報道には併せて、利用できるサポートの紹介(精神科医によるサポートが受けられること)や問題は解決できるというメッセージを加えること。
  • このガイドラインは、自主的に報道機関に採用され、その結果オーストリアの自殺率は'78年以前より低い水準(2005年に17.0)になっている。

△むろん根本的な状況が改善される必要はある。しかし、まず模倣自殺の無用な連鎖を招かないために*3、専門家が行動を示して状況を変えたこの事例は参考にされてよいはずだ。

*1:こちら「2006-11-13」を見ると、「ニュース23」でも扱われていたようですね。

*2:ほとんど調べていないが、自殺率については「}˜^¤Ž©ŽE—¦‚̍‘Û”äŠr」など参照。

*3:id:kibashiriさんのところhttp://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20061115/1163554246でも、いろいろ話題が出ているようですが。